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アスベスト(石綿)と解体工事【5】

2024.04.08(Mon) 解体工事コラム

皆様こんにちは!解体工事専門店トリコワの川越です。

本日はアスベスト(石綿)について第五弾となります。

 前回、中皮腫という疾患について少し触れたのですが、今回はそちらの疾患も含めて石綿関連疾患と呼ばれるアスベスト吸入により生じる疾患の代表的なものをいくつかご紹介します。

 

(1)石綿肺

石綿肺は大量にアスベストを吸入することで発症します。間質性肺炎の原因がアスベスト粉塵の吸入である場合に石綿肺と診断されます。進行すると間質性肺炎との区別が難しいようです。石綿ばく露(アスベストを吸引してから)30~40年後に症状があらわれることが多く、高濃度のばく露であれば10年未満でも発症することもあります。石綿肺は治療法や治療薬も確立していないのが実情です。肺がんや中皮腫、気胸、胸水、気管支炎などの他疾患との合併症リスクも高いです。

(2)肺がん

肺がんは通常発症するがんと石綿ばく露により発症するがんで大きな違いはなく症状は同じと言われています。こちらは石綿ばく露から20~50年の潜伏期間を経て発症することが多いです。石綿ばく露量が多いと肺がんリスクが高まります。

(3)中皮腫

中皮腫はほとんと胸膜ですが、腹膜・心膜・精巣鞘膜より発生する腫瘍です。中皮腫=悪性で良性はありません。中皮腫は胸膜に発症する場合ば最も多くその90%が胸膜です。石綿ばく露との関係がはっきりしているものはびまん性悪性中皮腫と呼ばれます。胸膜の中皮腫の発症リスクは実はアスベストの種類によって違ってきます。以前ご紹介しましたようにアスベストは繊維状鉱物の総称で種類がいくつかあります。その中でもクロシドライトという種類が最も危険性が高く、アモサイト→クリソタイル→アンソフィライトの順で下がっていきます。クリソタイルのリスクを1とすると、クロシドライトは50~100倍リスクが高いとする報告があるんです。石綿ばく露からの潜伏期間は平均50年前後と言われています。

 代表的なものをご紹介しました。解体作業などに従事していた方は石綿ばく露の可能性がある、ということは容易にわかりますが、過去に吸入したことがあっても気づかいことが多々あります。発症してから気づく、という方もいらっしゃいます。だからこそ使用禁止になったのです。

ですから私たち解体業者はこの危険性をしっかりと把握した上で、適切な処理を行いながら作業しております。次回はその取り組みについてご紹介させていただきます。ぜひご覧ください。